変形性膝関節症とは
膝関節の軟骨や半月板がすり減り、関節内の炎症や骨の変形が生じた状態です。負担の蓄積により、関節の滑らかな動きやクッション機能が損なわれ、痛みや変形を引き起こします。時間とともに徐々に進行するため、早期からのケアが重要です。
変形性膝関節症の症状 =痛みと変形
変形性膝関節症の主な症状は膝の痛みと変形です。
疾患が進行するにつれて可動域が徐々に制限され、末期には日常生活に大きな支障をきたすようになります。
初期症状
立ち上がりや歩き始めに膝がこわばる、重く感じる、鈍い痛みを感じるなどの症状が出ますが、しばらく体を動かすと症状は治まることが多いです。朝起きた時や長時間座った後にこわばり感を感じる点も特徴です。
中期症状
休むと治まっていた膝の痛みが持続するようになり、階段の昇降(特に下り)や正座、しゃがむ動作が困難になり、膝が腫れて熱感を持つようになります。O脚が進行し、歩行時に膝の横揺れが生じることがあります。
進行時の症状
関節軟骨が消失すると、骨同士が接触し強い痛みを感じるようになります。膝をまっすぐ伸ばすことが難しくなり、短い距離しか歩けなくなります。
変形性膝関節症の原因
加齢・筋力低下
年齢を重ねると関節軟骨の弾力性が減少し、筋力低下が進みます。膝関節は生涯を通して負荷を受け続けるため、徐々に磨耗が進行します。
性別(女性ホルモンの減少)
女性ホルモンの一種エストロゲンが骨・軟骨・筋肉の健康維持に関わっており、閉経後はエストロゲンの分泌量が急激に減るため、発症リスクが高まります。また、女性は男性に比べて筋肉量が少なく体脂肪率が高いことも要因です。
肥満
体重が増えると膝関節への負担が大きくなります。立っている時や歩行時には自分の体重の数倍の負荷が膝にかかるため、発症リスクが高くなります。肥満傾向の場合は運動量が少なく筋肉量が不十分なことが多く、相対的に膝関節への負荷が増大します。
O脚・X脚
O脚では膝関節の内側に、X脚では外側に負担が偏ってかかるため、変形が進行しやすくなります。
膝への負担が続くスポーツ・仕事
深い屈伸やジャンプ、捻りなど膝に強い衝撃がかかるスポーツ、重量物の運搬やしゃがみ込みと立ち上がりを繰り返す作業が要求される仕事は、長年にわたって負荷が蓄積し、少しずつ軟骨が摩耗していきます。
過去のケガ・病気や遺伝
過去の骨折、靭帯断裂、半月板断裂、軟骨損傷などがあると、膝関節の滑らかな動きや安定性が損なわれ、発症リスクが高まります。また、遺伝的要因によって生まれつき膝関節の形や軟骨の質に異常がある場合もリスクが高くなります。
変形性膝関節症の治療
保存療法
変形性膝関節症の治療には、生活改善や体重コントロール、運動療法といった手術を行わない保存療法を行う場合があります。
生活改善・体重コントロール
テーブル、椅子、ベッド、洋式トイレを使用する生活に切り替えることで、膝にかかる負担を軽減できます。重い荷物を持ち歩くのを避け、踵が不安定な靴を履かないようにするのも効果的です。肥満の方は体重を減らすだけで痛みが和らぐことも少なくありません。
運動療法
重症度にかかわらず、すべての患者様に推奨される治療法です。膝を支える筋肉を鍛えることで痛みを軽減し、膝への負担を軽くすることができます。筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動が有効です。
物理療法
温熱療法は患部を温めることで血行促進と可動域の拡大を図ります。温湿布やホットパック、入浴の他、医療機器を用いた治療法があります。
徒手療法
理学療法士による手技で筋肉の緊張をほぐし、関節の動きを改善します。
装具療法(サポーターなど)
足底板やサポーター、杖を活用して膝の負担を軽くします。足底板は足の外側に板を差し込んで持ち上げることで関節にかかる負荷を均一にし、サポーターは膝を安定させるのに効果的です。
薬物療法
痛みを抑え、炎症を鎮めることを目的に、飲み薬、塗り薬、貼り薬などを使い分けて処方します。一般的な鎮痛薬としてアセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を使用します。
関節内注射
関節内に関節液の主成分であるヒアルロン酸を注入し、関節の動きを滑らかにします。
手術療法
保存療法を行っても十分な効果が得られず、生活に支障がある場合は手術療法を検討します。関節鏡視下手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などがあり、病期、年齢、全身状態、生活への影響などを考慮して検討します。
